雨音(2009年4月21日)
梁の見える、天井の高いこの寝室では、なれるまでどうも落ち着いて眠ることができませんでした。
毎晩、山小屋で眠っているような感じになるのです。私はどちらかと言えばインドア派です。
ところが、前にもお話したように、例のでっかいクローゼットの収納力による、すっきり感のおかげもあってか、日がたつにつれ、実にぐっすりと安眠できるようになりました。
やはり、これは、この家の素材。ご覧のとおりの木、それから和紙という自然からいただいたそのままの素材によるところは大きいかと思います。
しかしながら、本日のお話は、その素材についてではなくて、
この部屋のもう一つの大好きポイントについてのお話です。
この部屋で休むようになってから、
寝床の中にいながらにして、その日のお天気がわかるようになりました。
開口部が大きくて、朝日が当たるからということもあるのですが、
なんと言っても、外の気配を敏感に感じられるのは、屋根材の影響です。
屋根はガルバリウム。
雨音が聞こえます。
雨の日には、雨音で目覚めます。
♪雨音に気づいて、遅く起きた朝は、まだベッドの中で、半分眠りたい・・・
こんな歌がございますが、まったくそのとおりの気分になります。
しおしと降る 落ち着いた雨。
ザーザー降りの、どしゃ降りの雨。
パラパラっときた、突然の雨。
雨のタイプは色々で、暗い夜中に目覚めても、雨音の聞き分けができます。
私は、なぜかこの雨の音を聞くと懐かしい気持ちになります。
私の母は、美容師でした。
大のおかあちゃん子で、腰ぎんちゃくと呼ばれていましたが、
お母ちゃんは、仕事が忙しい。
40年も前の田舎の美容院でしたので、住宅の、一室を店として改造した、いわゆる「パーマ屋さん」でした。
昔は、盆暮れパーマと言って、お盆とお正月前になると、みんなこぞって美容院にパーマをかけに行ったものです。近所は農家のお嫁さんばかり、昼間美容院に行くなんて、もってのほかだったのでしょう。夕暮れ時になると、忙しさが倍増してきます。さあご飯というときに、決まってお客さまがいらっしゃるのです。子供心にお客さまが恨めしかったこと、今でも鮮明に覚えています。
考えてみれば、わが母も時代の先端の職業婦人だったのですね。
運動会、参観日どちらも母に来てもらった覚えがありません。
そんな母の近くに居たい一心で、
学校から帰ると、店に隣接した部屋で、母の仕事の終わるのを待っていた、
あの頃のことを思い出します。
特に、雨の日は、出不精の私にとって、外に遊びに行かなくても良い、胸を張ってその部屋にいられる恰好の安息の日だったのでしょう。
小さく古い家でしたが、屋根は昔の瓦葺だったので、今の我が家のガルバの屋根の音に郷愁を感じると言うことは、家のどこかにトタン屋根があったはずです。
母の近くにいるような安堵感からなのでしょうか、私はこの部屋で聞く、雨音がとても好きです。
19.02.18.(月) : 雨音(2009年4月21日)